2013年10月20日

知能は幼児期の環境が育てる

ですから、幼児期の教育環境がとても重要なのです。このことを建築学や工学でよく知られている「機能が構造を決定する」という理論から考えてみましょう。その建物を何に使うかによって、建物全体の構造も決まる、というのが「機能が構造を決める」という理論です。

たとえば、その建物を住宅に使うのか商店にするのかで、全体の設計は大きく違ってきます。また、店にするならば、その店がどんな商品を扱うか(機能)によっても、スペース(構造)の取り方は違ってくるわけです。それと同じように脳をどう使うか(機能)によって、脳の能力と大きさ(構造)が決定されるのです。

だから、脳の機能を使わない環境に置かれると、幼児の脳は発達しないばかりではなく、正常な知能も阻害されてしまうということも起こるわけです。ドーマン博士は、知的障害児がそうであるのは学習する機会が与えられなかったからだと述べています。たとえば、ベッドにしばりっけられたり、納戸に閉じこめられることによって、脳の機能を発達させる機会を奪われた結果だというのです。

脳(機能)を使わなかったので、脳の発達(構造)がなかったということです。もし、天才のレオナルド・ダ・ヴィンチやエジソン、シェークスピアなどが、大切な幼児期に納戸に閉じこめられるような環境に置かれたら、その能力が発揮されるどころか障害児のようになっていたかもしれない、とさえ指摘しています。表現を変えれば、知能は胎児や乳幼児期の環境が育てる、と言ってもいいでしょう。

これをよく示しているのが、幼児のバイオリン教育で世界的に知られている鈴木鎮一氏の教育法です。鈴木氏は、バイオリンを弾くのは素質ではなく、幼児期の育て方ひとつだと言っています。鈴木氏が幼児にバイオリンを教えるきっかけになったのは、日本人ならば誰でも日本語を話す、という事実からでした。日本人が日本語を話すのは当たり前じゃないか、という疑問をもたれる方もいるかもしれません。しかし、これはよく考えると、当たり前のことではないのです。

何らかの事情で、海外で幼児期を過ごした子どもは、たとえ日本人であっても現地語を話すようになるからです。両親が日本人でも、アメリカで生まれて育てられれば、英語がペラペラのバイリンガルの子どもになるでしょう。日本人の幼児が日本語を話し、アメリカ人の幼児が生まれながらに英語を話すのは、人種や民族の違いではなく、その幼児が日本語を話す環境に生まれ育ったか、英語を話す環境にあったのか、という「環境」の違いによるのです。

鈴木氏はここに注目して、日本で生まれ育った子どもが自然に日本語を覚えるように、自然にバイオリンを学べる環境に幼児を置いたら、自然にバイオリンを修得し、立派に弾けるようになるのではないだろうか、と考えました。この考えが間違っていなかったのは、「鈴木バイオリン教育」で江藤俊哉、豊田耕児、志田とみ子、小林健次などの世界的なバイオリニストが生まれたことを見ても理解できます。それだけではなく、幼い子どもたちの高度な演奏は、カザルスやグルミュオなどの巨匠をも驚嘆させるほどでした。

環境が整っていれば、幼児はバイオリンを弾くことができるし、英語を話すことだってできるのです。そして、それを可能にするのが幼児期の効果的な訓練なのです。それによってバイオリンを弾く能力が育ち、やがてそれが一流の才能となっていくのです。

posted by kosodate at 07:00| 証明された「能力」 | 更新情報をチェックする
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